石頭は星の王子さまの夢を見るか?
年齢を重ねるほどに理解力が衰えていく気がするけれど、そもそもの理解力が低かったのを過去の私が自分を過信していた(もしくは理解しているつもりだった)だけなのか、どっちが現実なのかは定かではない。
とりあえず今の私は、後者の匂いを疑うけれど。
導入はそれくらいとして、本題に入る。
『いちばんたいせつなものは、目に見えない』とかの有名な星の王子さまの一節がある。
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
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この言葉と出典源はずいぶん前から知っているけれど、あいにく私は星の王子さまを読んだことがない。
興味はあったし、どはまりしたスタドラが星の王子さまをモチーフにしている部分がかなりあると知ってから一度図書館で借りてきたけれど、結局読まずに返してしまった。
STAR DRIVER 輝きのタクト Blu-ray BOX
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ことごとくタイミングを逃すこの本との関わりだけれど、先日、図書館の主を読んでいたらまた紹介(引用)されていて、そろそろ真面目に読んだ方が良いような気がしてきた。
というわけで、図書館へ行ったついでに探してみたのだけれど、今回は見つからなかった。
今はタイミングではないってことなんだろう。
ただ、『いちばんたいせつなものは、目に見えない』ことに関してだけは、今思うところがあるので少し書きたいと思う。
私が初めて物質的豊かさと精神的豊かさという言葉を聞いたのは高校生のときだった。
入試対策の評論で語られていた内容だ。
評論の内容はもうほとんど覚えていないけれど、当時の私が精神的豊かさに憧れたことは感覚として覚えている。
改めてそんな評論を読まなくても、物質的豊かさ≦精神的豊かさの不等式(※20161028,不等式の向きが逆なことに気付く。修正しました)は世界各所のありとあらゆる媒体で飽きるほど語りつくされていたし、その考えが正解だと思わない人を探す方が難しいんじゃないか? と感じてしまうくらい、当たり前といったら少し語弊があるけれど、それくらい周知されているような価値観だと、当時も今も思う。
なのに、その精神的豊かさというものを手に入れるための方法は、だいたい抽象的だ。
逆上がりができるようになれば手に入る、とか、ノーベル賞をとれば必ず手に入る、とか、そういう明らかな指標がどこにもない。
なんとなくこんな感じ、こんな風に生きていれば、といった、感覚的な目に見えない方法ばかり。
白黒はっきりつけたい性格の私からすれば、あまりにも遠い、手の届かないものに思えた。
「確実に今、精神的豊かさを手にしている」と確信できなければ、私はそれを手に入れているとは感じられないんだろう。
精神的豊かさというものの尊さと儚さを同時に感じた高校時代の思い出だ。
『いちばんたいせつなものは、目に見えない』というセリフは、各所でこれだけ取り上げられている世界だから、きっと大多数の総意や真意といってもそろそろ許されるんじゃないかと思う。
じゃあ自分にとっていちばんたいせつなものって何だろう?
そう考えたときに浮かぶものが、私にはいまだに物質だ。
逆に物質じゃないものを思い浮かべる人がいるのかと疑問になるくらい、確固として物質しか思い浮かばない頭の中、どうにも最近その影によぎるものがある。
よぎるのは物質ではない、目に見えないものだ。
世の中の人たちが『いちばんたいせつなものは、目に見えない』を総じて感じているかどうかは私にはわからない。
そもそも本当にそうなのかどうか、私はいまだに少し疑問に思う。
ただ、いちばんたいせつな物質の影によぎる「何か」が、私の考え方を徐々に変えてきたことだけは、感覚的に理解できる。
冒頭に述べた理解力の低さから、「理解しているつもり」になっていないことを祈るばかりだ。